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  • 執筆者の写真_ ぬぺ

37話 イロキの乱

麗………………




トウフでは蔵が燃えていた。

王座に座るのは前王殿イロキ。本来トウフを任されたグローディが蘇らせた死人である。

が、今までのゾンビ状態の死人とは異なり、完全に自我をこちらのものにし、寧ろグローディを尻に敷いているイロキ殿である。もうこの時点ですさまじく強いことが分かるのが怖い。




キングオージャーのメンバーは、世界的な食糧難を理由にまずはトウフの奪還を試みる。

まともな食事をとっていないため、ジェラミー以外はダメージがデカいのである。


カグラギはグローディをリタに任せて城内へ。

そんなリタは五道化によっていずこかへ連れていかれる。




遅れてトウフに入った4人だったが、空腹でダウン。

なぜか目の前で米を炊く準備をしていたグローディのご相伴にあずかることになりました。

これ見よがしに米を炊く敵幹部、おもしろすぎる。


もちろん一筋縄でいくはずもなく、米にはしっかり毒入り。

ということでキングオージャーブチギレである。食べ物の恨みは大きい。




その頃、城内では。前大殿と現大殿が対峙していた。


2人のファーストコンタクトは17年前に遡る。

当時のイロキは誠実で、華やかな衣装に笑顔が綺麗、なにより美味しそうにご飯を食べる人だった。

農家であったカグラギとスズメはイロキのもとに自分たちの米を作って持ち込み、その味を認めてもらった。

馬鹿正直なカグラギを買ったイロキは、彼に自分のもとに通うこと、そこで「大殿」について学ぶことを命じる。


しかし状況が変わったのが「神の怒り」。

イロキは食料を城で独占。

民の不満は募り、暴動寸前まで行った。


平和的解決を望むカグラギは一人城の中へ。

イロリと対話を試みるが話にならない。

目の前で一善を平らげた彼女は、その直後に血を吐いて倒れる。

毒の苦しみに悶えながらも城を燃やし、刀と王の証を托して自分を斬るように命じる。

あまりの事態に何もできない彼を見て、「裏切り者」と言い捨てこの世を去る。


燃え盛る城から出てきたカグラギを見て、スズメがイロキの敗北を宣言したことにより、カグラギは大殿様になったのであった。




あれから15年。

大殿として経験を積んだカグラギは、「裏切り者」に対する答えを既に持っていた。


イロキが米をため込んでいたのは、そもそも米に毒が入っていたから。犯人はもちろんグローディである。

それを知ったイロキは米を回収、民の手に、他国に渡らないように手配。自分が死ぬときには炎の巻き添えにして廃棄した。



その目的は、トウフの農業を守ること。

農業で成り立っているこの国にとって、作物の品質を守ることは非常に重要。

故に、毒入りの米があると知られた時点でこの国は終わる。


そこで、イロキはコメを独占し、自分を悪人に仕立て上げることで毒入りの米の流出を防いだ。

最後には自分が誰かに斬られ、玉座を引きずり降ろされることで完成するはずのシナリオだった。


だからこそ、馬鹿正直が出てしまった、大殿から学んだことを活かせず、イロキの覚悟を尊重できなかったカグラギが「裏切り者」だった。


まあ、そのあたりのカバーはスズメちゃんがしてくれましたが。

約2年、もしかしたらカグラギと一緒にスズメちゃんも城に通っていたのかもしれない。

彼女の方が2年前からかなりしたたかな部分もあったわけだし。




答え合わせが終わった後、剣を抜くカグラギ。

イロキのために、15年前の姿で変身するカグラギと、

彼のために悪役で居続けるイロキ。

個を殺してでも国のために全てを賭ける2人がかっこいいんだ。


再び斬られることが無かったイロキは、城の上からカグラギを見届けた後、「裏切り者」と言って消滅。

炎の中焼かれたあの時と違って、愛した国を見つめながら晴れやかな笑顔で消えていく大殿様が美しい。




無事にトウフを奪還。

残るは3国。





次回:君は完璧で究極のアイドル!

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