劇場版仮面ライダーリバイス バトルファミリア
- _ ぬぺ
- 2022年7月26日
- 読了時間: 8分
いやすごかった、本当に凄かった。
【あらすじ】
テレビ版が三兄妹の話なら、劇場版は父と母の話、という印象。
母:幸実の誕生日に温泉旅行をプレゼントした三兄妹。
しかしあろうことか、2人が乗った飛行機がハイジャックされる。
ハイジャックしたアヅマとその部下の狙いはギフの遺伝子を持つ元太と、彼を救出しにくるであろう三兄妹。
さらに乗り合わせていたのは仮面ライダーキマイラこと大谷希望(おおたに・のぞむ)
そして一般人の妊婦さん、竹田由芽。(彼女、作中で名前呼ばれたっけか?)
連れていかれた五十嵐夫婦を待ち受けていたのはマッドサイエンティストの外海雅人。
レギュラーメンツの思惑が複雑に絡み合いつつ、1つの結論に行きつく感じがめっちゃ良かったです。
個人的にライダーの夏映画は今のところゼロワンがぶっちぎりなのですが、リバイスもそれに並ぶくらいに好きだ。
(シナリオの流れならゼロワン、キャラの立ち方ならリバイスかな?と)
【登場人物の話】
《三兄妹と悪魔たち》
通常運転。仲良し兄妹に戻っていて本当に良かったねの気持が一番大きい。
特に大二がニコニコしているのが嬉しいです私は。
あと今回特製の衣装がまあ似合ってるんだわ。
悪魔たちは闇堕ちシーンがありましたが、ドスが効いているバイスともはやあんた誰?なラブコフと対照的にカゲロウくんだけ通常運転でにっこりしちゃった。
あのシーン、小さい子たちがトラウマにならないか心配です。PG12じゃないの、あれ?
そして劇場版フォーム「仮面ライダー五十嵐」。
3人のフォームのいいとこどりという感じで好き。色彩とか結構攻めているのにあんまりとっ散らかった気がしないのすごい。
あと、クライマックスフォームとかジオウトリニティとかみたいなのを期待していたのでちょっと残念。正統派のかっこいいライダーだった。
《狩崎・ヒロミ》
後方支援組。
狩崎のテンションが高かったのはシックに合わせたものという感じでよさそうだ(パンフを確認しながら)
個人的にはヒロミのグラサンファッションが好きだったのですが、スタッフさんの間でも受けが良かったそうです。分かるぞ。
序盤の事件発生から情報収集完了までが一瞬で「いやいや…」と思ったことをここで懺悔しますね。それも伏線だとは思わなかった。
オラついているジョージが見れたのは結構楽しかった。時系列的にも父親を亡くしたばかりだし、いろいろ荒んでいたのではなかろうか。
《デッドマンズ》
おかえりなさい!約2名舌打ちしてたけど、私は好きだぞ!
終始オルテカくんだけ浮いてるのちょっと笑った。周りの人間全員に喧嘩を売って回っている君が好きだよ。
そして玉置くんの今後がますます気になる私です。あのシーンだけ全く説明が無かったから…。
《アヅマ》
今回の敵枠。
赤石と共にギフと契約した不老不死の人間であり、赤石と同様に人類をよりよい方向に導こうと長年努めてきた男。
過去の回想の中に忍者がいたのはネタと思ってもいいんだろうか。
変身するのは仮面ライダーダイモン。モチーフはサイ・タコ・ムカデ。どうしてその3つをセレクトしたのか謎過ぎる。(タカトラバッタなどという前例を棚に上げながら)
冷徹な敵キャラであり、悲しみを抱えた1人の男であり。
愛する人がいて、とにかくまわりを助けようともがくその姿が一輝のifっぽくてとてもよかった。
基本無表情なのに心情がヒシヒシと伝わってくるケインさんのお芝居がまたいいんだわ。
《外海雅人/シック》
今回の敵怪人枠。シックの人間態が外海ということ。
ヒロミから生まれた悪魔ということで、あの唐突な真澄さんの回想(衝撃の告白)はこれか~~!!!と。
そうするとサイエンティスト気質の彼の性格、シックのキャラデザ(ジョージを左右反転&ネガポジ反転)したデザインもしっくりくる。
事件発生から情報収集までの時間が短すぎるの、映画の尺があるとはいえ…と思っていたけれど、「元凶がジョージだったから既に手を打っていた」という伏線の一部になっていたの怖すぎる。所詮我らは手のひらの上。
あとキャスティングですよ。
人間態が八嶋智人さん、怪人態が藤森慎吾さん。
八嶋さんのはっちゃけ演技が最高。彼の「ハイテンションかつ腹立たしいキャラ」が大好きなので今回テンション上がった。言動がいちいち神経を逆なでしてくるのに、オーバーな動きがどこかキャッチーで面白い。
そんな彼の動きを忠実にトレースしているのが怪人態のシック。スーツアクターさんははベイルと同じ方らしいです、嘘だろ…?
お声の藤森さんがまた良い。がっつり声優をやっているのは初めて拝見したのですが安定感がすごい。ドライバー音声とは完全な別人だったのが個人的には嬉しかった。同じでも良いのだけど、決戦の時とかシックの声とライダーのドライバー音声とが飛び交うので分かりにくいことこの上ないだろうと思っていたので。
八嶋さんと藤森さんの声質が似ていたのも演出としてプラスに働いていた気がする。
《大谷希望》
仮面ライダーキマイラに変身する青年。
個人的には元太さんの回想が少なくて本編に微妙について行けなかったのがもやっていたので、映画では「Chimera」のシーンを入れてくれたことに感謝しかない。それにしても父親が高岩さん、母親が広瀬さんという家庭すごい。
元太の過去の姿、という印象。「ベイル」見てないから違うかも。
元太との対話のシーンはパパさんが自分自身に話しかけているようでとても良いシーンでした。
《竹田由芽》
希望が元太の過去なら、彼女は幸実の過去。
最悪の状況下でも大きいお腹を抱えながら頑張る彼女、「母の強さ」という感じでとても良かったです。
ただ個人的にここがほぼ唯一の不満点なのが、彼女のキャラだけが「都合よく」作られている気がしたこと。
あんな大きいお腹で飛行機のっちゃだめよ、とか、旦那さんは?とか、いやそこで出産するんかい、とか、名前そのままもらうのはアリなんか?とか。ちょっとツッコミどころが多かった点に関してはモヤモヤしている。
《五十嵐夫婦》
めっちゃかっこよかった!!!!
「戦士」として戦う元太さん。敵に向かって怒鳴ったり、敵と素面で戦ったりとかっこいいヒーロー然とした姿が目立った。いつものへらへらした人とは別人過ぎて痺れた…。戸次さんすごいや。
そしてママさんはみんなを助けながらもその精神的強さを遺憾なく発揮。バスに乗り込んで躊躇いなく運転席に腰掛けたり、巻き込まれた乗客を励ましたりと、「肝っ玉母さん」という言葉が良く似合う。
仮面ライダー五十嵐誕生のきっかけになった叫びも、それに伴って現れた女神の様な謎の何かもかっこよかった。ただし説明はなく、本人も「びっくりした!」みたいな反応だったのは笑うしかない。多分これからもこの件には触れられないんだろうなと。
ゲストキャラがこの夫婦に対応するキャラだったり、2人のいろいろな「強さ」が描かれていたりと話の軸に据えたいところ、見せたいところはこの2人だったんだろうなという印象です。
やっぱり「ベイル」見た方がいいのかな~…
【アクションの話】
もう…もう見てくれ。すごい。すごいから。
全員ゴリゴリに動くのよ。ありがとう坂本監督。
坂本監督の手腕がとやかく言われているのは知っているし、私もそのシーンいるかぁ?っておもったことは一度や二度じゃないけど、やっぱり疾走感のあるアクションを撮らせたら(少なくとも東映特撮に関わる監督の中では)右に出る人はいないわ。
あと細かなフォームチェンジ、派手な見せ方もずば抜けていて、私はそこが大好きなんですが、もうそれが前面に出た作品でしたとも。
特に闇堕ち悪魔たち対三兄妹のシーンは思いっきり殴る蹴るですご…ってなりました。
カメラワークで誤魔化しているけど、容赦なく顔と腹を殴りに行く感じ。「本気で悪魔たちは宿主を殺そうとしている」とヒシヒシと伝わってくるからこその緊張感と絶望感。
あと何よりもラストのアヅマ対一輝。
制作陣の「せっかく動けるやつが2人いるんだから全力で動かそうぜ!」という気合を感じた。
動きが早すぎて見えない。
前述したのと同様に腹も胸も殴り合っているのですが、多分あれガチで当てに行ってるよね?蹴られた側の反動がリアルに当てられた人のそれだったので。
アクションの見応えに関しては本当に言うこと無かったですありがとうございました…
【仮面ライダーギーツ】
先行登場。かっこよかった。
素体は黒いボディスーツ、そこにアーマーを加えて完成するっぽい。後ろに浮かぶロゴがかっこいい。
銃の撃ち方、アーマーに内蔵されている武器、絶対取り外してバイクのハンドルにするだろ?って感じのベルト。
どこをとってもめっちゃかっこよいデザインです。私自身が和モチーフが好きなのもあってけっこうハマったかも。さりげない勾玉モチーフもお洒落。
なによりも横顔があまりにも美麗なので見てください。1年通してあの横顔だけは死守してほしい。いやマジで。
あとバイク!キツネに変形するの最高じゃん!!!
【音楽】
テレビ版同様、Da-iCEさんと木村昴さんのコラボ曲、「Dance Dance」。
その名の通りダンサブルな楽曲で、「これ本当に合うのか?」と思っていたんですが、いざ劇場でかかると合うんだなこれが。
5人の家族の幸せそうな笑顔の後ろにかかるアップテンポが気持ちいい。
単純な私は即Spotifyのプレイリストに突っ込んでフルを聞きましたがこれもまたいい。映画版ではカットされている、しっとりしたCメロも好きです
全体的な話としてはこんな感じだろうか。
伏線の置き方も回収の仕方も綺麗、話運びも綺麗だし、キャラが1人も埋没していない
ゲストで呼ばれた人も(芸人・アイドルと本業じゃない人もいたけれど)全員キャラが合っていて没入できた。
繰り返しになるけれど、最近の東映の映画の中ではトップクラスの完成度だと思います。
パンフレットのインタビューもどれも読み応えがあるのでぜひ。
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