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  • 執筆者の写真_ ぬぺ

第13話 どちらまで?

半端物,余分,残り物
"odd", 小学館 ランダムハウス英和大辞典, (参照 2024-01-06)



【あらすじ】

街を爆速で駆け抜けるタクシーとパトカー。それを見送る人々。




秩父から帰ってきている剛力。その助手席にはノートが1冊置かれていた。

小戸川少年が書いたノートである。


「ぼくは動物が大好きだ。しょう来は動物園で働きたいと思う。

なぜなら、人間が苦手だからだ。」


小戸川少年はいわゆるいじめられっ子だった。

先生にも助けてもらえず、泣けば「セイウチ」と揶揄される。


「ほんとにセイウチだったら良かったのになあと思う。」



家庭環境も良くなかった。

父親は女を作って家におらず、たまに帰って来ても酒に溺れている。

母親も息子に当たるか、食うか、泣いているか。


そんな父親だが、動物図鑑を買ってくれたし、時折ドライブで動物園に置いて行ってくれるからまぁまぁ好きだった。

もらった動物図鑑はお気に入りだった。


「人間の目は見れないけど、動物の目はずっと見れた。」

「また、人間ばかりの現実に戻るんだと思ったら、ずっとここにいたいと思った。」




カーチェイスはまだ続く。

ヤノたちのタクシーの後ろから大門兄弟が乗った車が近づいているが、やはりタクシーとヤノパトカーの距離の方が近い。




雪が降りしきる中、N-1グランプリの敗者復活枠が決定。

1770番、ラッシュスタイル。

……ガチの、速水さんと野津山さんのコンビです。なんかキャラデザもご本人に似てるし。

こんな方向性で笑いねじ込まれるとは思わんやん。




「首都高で個人タクシーが暴走中」


小戸川のタクシーの状況は既に中継が組まれていた。

ニュースを見た白川は剛力に連絡。彼の車で、小戸川を追いかける。




敗者復活戦に敗れたホモサピエンス。

後悔しか残らないから解散は来年に持ち越してほしいと言う柴垣。


🐗「俺お前やないとアカンねん! お前のツッコミやないとアカンねん!」


馬場の後ろには高速道路。まだ工事中なのかそれは海の上で切れていて……あ(察し)。



二階堂ルイは海を眺めていた。

胸によぎるのは、これからの警察の取り調べに備えて口裏を合わせようとする山本の姿。


「もう、正直に話した方が……」



市村しほは海を眺めていた。

プレハブみたいなところに住んでいた小さい頃。

将来の夢は「お金持ち」。



和田垣さくらは海を眺めていた。

シングルマザーながら、自分を一生懸命に育ててくれた母親の言葉。


「夢破れたお母さんからしたら、アンタ眩しいちゃ。人生いっぺんきりなんやけん、どんな手つこうてでも、叶えないけん。」



柿花は海を眺めていた。

やっぱりまだ、しほのことが忘れられない。



田中は海を眺めていた。

何もなくなった彼には、もうレインボーブリッジから身を投げる事しかできない。



樺沢は海を眺めていた。

懲りずにTwitterを再開。ツイートするも全く伸びず。

自撮りでもしようとカメラを構える。




小戸川とヤノたちは走り続ける。

「通行止め」の看板も無視して突っ込んでいく。




「小戸川さんの病名、分かったんですか?」


剛力は、事故後に小戸川を担当した医師を見つけ出していた。

彼の病名は「高次脳機能障害による視覚失認」。

脳の障害により、見える物にエラーが起きていた。




剛力の車が止まった先。

小戸川のタクシーが走る先には、道が無かった。


止まり切れず、彼は海へとダイブしていく。あの時と同じように。


トランクからばらまかれる1億円分の万札。


車が海に落ちる様は、

まるでスマホが排水溝に落ちるようで、指輪が川に落ちるようで、から揚げが油に落ちるようで、入浴剤が湯船に落ちるようで、死体が海に投げ込まれるようで。


🐗「車が突っ込むんかい!」




「だからあの日、あの事故の日、僕は嬉しかったのを覚えている。」


久しぶりのドライブ。母は不機嫌で、父は酔っていたけど、まぎれもなく家族3人でのドライブだったから。

夜道のドライブは特別だった。


気づいたら病院のベッドの上だった。

両親がどこかに行ってしまったこと、主治医がワニだったことは分かったが、あとはよく分からなかった。


「僕が本当に、セイウチになっちゃったから」


親戚も教師も気にならなかった。看護師や他の患者もそう。

なぜならみんな、動物だったから。



ある日、マレーバクのおじさんがやってきた。

彼の援助で、1人で東京に住むことになった。

彼と会ったのは一度切り。でもいつか、ちゃんとお礼をしようと思った。




海の底で意識を取り戻した小戸川。

目の前には、ドアを開けようとする白川さん。手では無理だと悟った彼女は、なにやら構えを取り……。


多分、ケーシャーダを決めた。


再び気絶した小戸川を抱えて海の上へ。



小戸川が目を覚ましたのは救急車の中。

必死に呼びかけるのは強面の男と、可愛らしい女性。


「なあ小戸川、俺は何に見える?」

「……人間」




その後、関東警察病院にて。

強面の男、ドブのもとには大門兄……の真似をした弟が来ていました。

間もなく逮捕状を持って彼の元に警察がやってくるそうな。


「俺が逃げたらどうするんだ?」

「もう1回撃ってやるよ。バーン!」


膝に当たった一発。あれを撃ったのは大門弟だったらしい。

だから、田中の手元には一発残っていた。


発砲したことは叱られたが、それ以上に悪人を捕まえることに貢献できたならそれでいい。

その中に兄も含まれているが、そこはもう彼の中で区切りがついている様子。


「なんてったって警察だかんな!」




小戸川の病室には白川さんが。

彼女も骨折していたのに、献身的に看病してくれているようです。

退院したら一緒に動物園に行く約束もしています。



三矢ユキの事件は、二階堂ルイを彼女の殺害と遺棄の疑いで逮捕して一旦は幕引き。

同様に山本・ヤノ・関口も逮捕されています。



病室には今井くんがやってきました。

彼もなんだかんだポジティブにやっているみたいです。面会できるアイドルとか言うパワーワード。

あの時小戸川がばらまいた1億円は回収されたみたいです。これはそのまま小戸川にプレゼント。


そして何かを思い出したと言う小戸川だったが……。


「それと小戸川、確認しておかないといけない。お前の家にはなにがいるんだ?」




やまびこは本日貸し切りとのこと。




サウナにて。

小戸川は黒田と会っていた。

体調は良くなって、睡眠障害も治ったと報告。人間に話しかけられるようにもなった。

引退を決めているという黒田。彼が決めたルールはいたってシンプル。

「人を殺してはいけない」


そんな彼に、小戸川はロッカーのカギを託す。


「ここに1億円近く入ってる。できるところまでやってほしい。今支給してる子供たちだけでも、あの人形を渡してやれるまで、最後まで騙してほしい。これまで、お世話になりました。ありがとうございました。」




帰宅した小戸川は恐る恐る家の扉を開く。

押し入れから出てきたのは、1匹の黒猫。


「良かった、猫だよな。」




小戸川お気に入りのラジオパーソナリティは煩悩イルミネーションにバトンタッチ。

馬場がルイの彼氏だったこともバレ、ホモサピエンスは今地方での営業からやり直している様子。


田中はズーデンをアンインストールし、再び働き始めました。


樺沢はようやく真剣に就活をスタート。


柿花もしっかりお仕事中。


ドブは刑務所。




そして、和田垣さくらは。


母親に電話で近況を報告していた。

事務所も大きいところに移籍して、怖いくらい順調。


「でもね、悔しかったんよ。……うん、上手くいったっちゃ。」



──だから、三矢ユキを殺した。

CDデビューするらしいと聞いて、居ても立っても居られなくなって。



「全部上手くいっちょんよ。」

 「今のところなんもない。あとは、あの時乗ったタクシーが見つかればな~ち感じやったんやけど、あたし、分かったかもしれん。ほんと偶然。ツイてるんよやっぱ。」

 「大丈夫大丈夫、今度もうまくやれる。」

 「お母さんの言う通り、どんな手つこうてでも、夢叶えてみせるけん。」


片手に幸せのボールペンを握りしめ、彼女はタクシーに乗り込む。


「どちらまで?」


とびきりの、笑顔を返す。




【以下総括】

ということで。

3日間の強行スケジュールでの視聴、完了です。

いやぁ面白かった!めっちゃ面白かった!!



で、ひとつ良いですか?



考察ほぼ全部ピタリ賞貰っても許されるのでは……ッ?!?!


いやあ今回の私冴えてた。マジで。


「考察が捗るタイプ」という評判通りの作品でした。

伏線がどれも本当に丁寧で、だから掬い上げたとき、何かと何かが繋がった時の快感がたまらない。

ピースが嵌まった瞬間、脳内でドバドバ興奮物質が生成されるのが分かるもん。これ癖になるなヤバいな。

そして残らず伏線を回収していくんだからマジで気持ちいい。


あと伏線を出し始めるタイミングが上手いなと思いました。

小戸川の視覚を疑い出したタイミングで写真を持ち出して、という話は以前もしましたが、個人的に一番唸ったのは12話、赤坂を歩く今井くんの背後の看板で初めて人間のイラストが出てきたことですかね……。

これで「証拠出そろったな」って思った。



キャスティング、物語の展開、曲、キャラデザ、どれも言うこと無しです。

人間として本来の姿も動物たちをそのまま人間にした、という感じで本当によかった。

台詞回しや間の取り方も好きだったなぁ。

なによりもアニメでしかできない見せ方がめちゃめちゃ良かったです本当に。


……え、舞台がある? 今度ドラマもあるの? どゆこと??


一応今度のRoOTに関しては後日談的ななんかそんな感じらしいから成立するのかな多分。うん。



ラスト、乗り込んできたのは和田垣さくら。


10月4日の夜、小戸川が乗せた「ミステリーキッスの子」は彼女だった。

本来なら事務所で降り立つはずが無いのに。


だから、さくらは小戸川を探していた。


多分、母親もそのことは知っている。

ここで物語自体が終わるの、ほんと怖いな…………。


いや映画があるのは存じ上げてるんですけど、「事実上テレビ版総集編じゃねぇか」って燃えてるのは見てたのでね。



なんとも濃密な13話でした。

最後の微笑みでさらに密度上がったけどね。油断も隙もありゃしない。


1人で部屋に引きこもる3日間、大変楽しく過ごせました!ありがとうございました。


それでは最後のオーディオドラマ、聞いてきます。

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