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  • 執筆者の写真_ ぬぺ

第13.13話 本日貸切

平和って知ってる??




12月30日、小料理屋やまびこ。

貸し切りになった店内に人々が集まっていた。

メインキャラたちが勢ぞろいで小戸川の快気祝いである。

……なんか酔っぱらいが好き放題やる空間になってるけど。


誰も悪くない。

強いて言うなら調子に乗って勝ち馬にのった野次ばかり飛ばす樺沢です。

彼だけみんなに謝罪させられました。なんだこの空気。



締めの挨拶は本日の主役である小戸川に託されました。


「おれはあんまり友達とかいなかったからなんて言って良いのか分かんないけど、とにかく、みんな、ありがとう。これからもその、普通の生活に戻れたら、またこうして」「ではみなさん、良いお年を」




解散してから。

長嶋は最後の配信を始めた。


今まで回してきたこの盗聴器の配信。今回初の生配信である。

初回ラスト、変な切れ方をしていたわけですが、実はこれ、意図的なもの。盗聴器の持ち主の名前が入っていたので切ったとのこと。


「やまびこのタエ子ママだよ」


だから、この盗聴器、即ち幸運のボールペンを返しに行ったのであった。

もちろん彼女は、盗聴器の内容を聞いている人間がいるなんて知る由もない。

だから、今生配信をすれば盗聴器の持ち主の言葉が聞けるのではないか、と。

ということで、盗聴器の音声を拾う。



タエ子はどこかに電話していた。相手は小戸川。

小戸川の本音を聞くために剛力にペンを託したものの、受信機を持っていなかったので結局宝の持ち腐れだった。

事件物ノンフィクションをいつか書いてみたかったけど、才能がないかもしれない。でも、手記やインタビューは集まってきたから、良いのが書けるかも。


「これで盗聴のデータさえあればピースは埋まる感じ。」


一連の事件、あと少しで真相に近づきつつあるらしい。



そこに一人の来客が。

タエ子が扉を開けると、何か固いものがぶつかる音、タエ子のうめき声、何かが倒れる音。


来客は、静かに歩きながら呟く。


「もう。よだきいなぁ」

 「次はお前だよ。これ聞いてる奴。渋谷駅新南口でボールペン持って行ったお前だよ。」


大儀だ。おっくうだ。めんどうだ。

"よだきー【弥猛】[方言]", 日本方言大辞典, (参照 2024-01-06)



最後の最後に、またターゲットが増えてしまった。

これ以上ない後味の悪さである。


……まあ、正直求めていたものでもある。悔しいけど。

途中でブツリと切れた配信。


どうか無事であってくれ、長嶋くん。

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