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  • 執筆者の写真_ ぬぺ

46話

虎は吹いてくる風に対してさえ毛を逆立て、猛然たる気配を示す。勇者が事にあたって奮起するさまのたとえ。
"虎は風に毛を振るう", 故事俗信ことわざ大辞典



【あらすじ】

優衣が消えるまで、あと1か月。

自分はどうすべきかと思案に暮れる真司、ブレない蓮。

少しずつカウントゼロが迫る北岡、浅倉、そして「英雄」。


そんな……そんな終わり方ってある……?




【城戸真司】

未だ迷い続ける男。


このゲームの目的は、優衣を助けること。すなわち真司たちと同じ。

一方ゲーム成就のためには他のプレイヤーを手にかけることが必須となる。

1人のために他人を犠牲にすべきか、それとも他人のために1人を犠牲にすべきか。



揺れる真司が向かった先は、清明院大学401研究室。

偶然居合わせた東條に、ミラーワールドのヒントが無いかと尋ねたところ、示されたのはストーブに突っ込まれている香川の論文。


「次に何をすればいいか分かんなくなっちゃったから、全部失くしてしまえばどうかなーと思って」

 「香川先生がいれば、教えてくれたのかもしれないけど」


本当に0か100しかない男だよ東條は。

この後に及んでまだ香川先生の依存から脱しきれていない(おそらくそのことに気づいてすらいない)のが怖い。


研究室に残された真司の前に現れた士郎も真司たちの推測を肯定しつつ、「戦え」を繰り返すのみ。

この男も「優衣のために戦え」からブレない。もはや安心感すら覚え始めたよね。



大学からの帰り道。

出くわした蓮にどうするのかと聞かれても、やはり答えは出ないまま。


「お前は今までずっとそうやって迷ってきた。それで、誰か一人でも救えたのか?」


蓮が救いたいのは恵里と優衣。

士郎が嘘をついている可能性を考えても、勝てば少なくともどちらかは救える。だから戦う。

迷いを見せないまま去っていく蓮を見送る真司。



彼が花鶏に戻ってくると、そこにいたのは「20歳の誕生日には消える」と宣告されても尚気丈に振る舞う優衣だった。

消えかかる彼女の手を見て、ようやく気持ちを固める。


他のライダーたちからは少し遅れてミラーワールドに参戦、蓮のもとに合流。


「蓮、俺やっと答えを出した。……戦うよ。優衣ちゃんを助けたい。お前の言う通り、迷っていても誰一人救えないなら、きっと戦った方が良い。戦いの、辛さとか、重さとか、そんなの自分が背負えば良い事なんだ! 自分の手を汚さないで誰かを守ろうなんて、甘いんだ」


1人でも多く救えるほうに賭ける。それが真司の結論。

本当に本当にデスゲームに向いていない。それは蓮もだよ。



覚悟が決まったのなら、やることは1つ。

真司と蓮は互いにサバイブになって向かい合う。

大丈夫?本当にお互いの命を奪える覚悟はできているの??




【北岡秀一】

愉快な仲間たちに囲まれて過ごしている弁護士。

今日の飾り物のお姉さんたちはボディーガードの役割を仰せつかり、庭で謎の舞踊をしておられました。楽しそうだな。


吾郎ちゃんが作った朝食を食べながら、

「これならいつ秘書辞めても大丈夫……」

とこぼす。

本人もタイムリミットが近いとうっすら気づいている様子です。

そしてそんな北岡のことが気にかかる吾郎。



昼になると事務所に1本の電話が。

東條からまさかのお呼び出し。向かった先にいたのは、バイクで合流した蓮と東條の車をしっかり私物化した浅倉。

「ある意味これがベストメンバーかもね」


ということでいざ戦いへ。

最初は三つ巴だったものの、この後の展開のためにモンスターにあれよあれよと連れていかれた蓮が離脱。北岡と浅倉の一騎打ちになるが、そこにタイガが乱入。

ベノスネーカーの噴射液によって武器が溶かされるというハンデを追いつつ、タイガの標的が主に王蛇に向いていたこと、さらに王蛇が自分のモンスターによる攻撃をもろに受けてしまったことによりなんとか離脱。



元の世界に戻ると、そこには片目の周辺に怪我を負ってやぶれかぶれの浅倉。

ドロドロの殴り合いをしているところに駆け付けたのは吾郎。

代わりに彼が浅倉の相手をするが、相手は凶悪な犯罪者。暴力の質が違いすぎる。


しかし幸か不幸か、浅倉は大怪我を負っている。

東條からぶんどった車に乗って逃亡しようとしたところ、東條が撒いていたガソリンによって車が大爆発。

浅倉は炎の燃え盛る車に残される形になる。


北岡は爆発に巻き込まれた吾郎を助けて逃げようとする。

車の中から手を伸ばして逃がすまいとする浅倉の手も力尽くで振りほどく。


この短い時間の中でこれでもかというほど北岡・吾郎が互いを大事にしていることを示してきたわけで。

これはもう腹を括らなきゃなと思ったのですが、予告を見る限り私はもう無理です。無理。




【東條悟】

北岡とバトル中、「英雄」の在り方について説かれる。


「お前さ、絶対英雄になれない条件がひとつあるんだけど、教えてやろうか?」

 「英雄っていうのはさ、英雄になろうとした瞬間に失格なのよ」

 「お前、いきなりアウトってわけ」


思うところがあったらしい東條。

近くにあったフェンスに八つ当たりし、元の世界に帰還してもやるべきことが分からず、全てを無に帰す作業を始める。

人間関係然り、周りのもの然り、何もかもうまくいかなかったら全部リセットしようとするのね東條。

現代だったら絶対「人間関係リセット症候群」でしょうあなた。



考えた末に彼がとった行動は、灯油を車にぶちまけて爆発からの死亡を狙うというもの。

「自分がいないところで邪魔な人たちに殺し合っててもらう」ということ自体が、「英雄にはならない」と断言した北岡と同じ手段なのですが、本人は全く知る由もなく。


一時的にミラーワールドに侵入して場を掻き回してから戦線離脱。

今頃敵は吹っ飛んでいるはずだとほくそ笑む。


「先生、僕、また英雄に近付いたかもしれません」


👨‍🔬「東條君、私は君に、もっと多くの事を学んでほしいんですよ。君ならきっと素晴らしい英雄になれるでしょう」

「僕も、そう思います」


ここで香川が言う「多くの事」というのは家族愛とか、人を思いやる気持ちとか、そういうことだったはずなんだけど。



街を歩く東條の前に現れたのは、小さい息子を連れたお父さん。言わずもがな、香川親子に重なる。

そこに突っ込んできたのは減速していないトラック。


「危ない!!!」


咄嗟に親子の身代わりになった東條。


「じゃあ、どうやって、英雄になるのかな……。香川先生、次は、僕、誰、を……」



数日後。捨てられた新聞の切れ端が街を舞う。

 

親子を救った

英雄

 23日午後3時10分ごろ東京都豊島区北千川五丁目の区道で、清明院大学在籍の学生、東條悟さん(23)がトラックにはねられ亡くなった。目撃者の証言などから、東條さ(以下不明)

 


皮肉にも最期に、咄嗟にとった行動で小さな「英雄」になった東條。

「英雄」に固執した行動に意味が無かったことと、北岡の発言の正しさを命を張って証明した最期でした。


正直、彼は最期はかなり惨めでぐちゃぐちゃになっていると思っていたので、こんなに「英雄的」な終わり方だったことは意外だった。

でもまあ、東條の立場からすれば自分の努力を無にされた屈辱的な最期なのかもしれない。

「次は僕誰を(手にかければいいですか)」なら、彼は最期まで自分が思うような英雄になれなかったままなわけだし。

一番かっこよく見えて、一番報われない最期だったのかな。




【以下雑記】

🐉今日も愉快な花鶏。編集長は蓮に「チップ」を渡してくれたのですが…「喫茶グッチョ」のコーヒー50円割引券。絶対花鶏に居座るにあたってグッチョに行けなくなっただけでしょ。折ジワとかが確実に長期間財布に入れていた時のそれだし。

🐉その後、クリスマスの飾りつけをする際に叔母さんから椅子代わりに使われる。「椅子はあるのになぁ……椅子が、こんなに……」といううめき声が切ない。おばさんもおばさんでしっかり運動靴のまま上に乗ってるのポイント高い。


🐉王蛇がベノスネーカーの液浴びたとき、面割れを期待したやつ手ぇ上げ。すっごい楽しみにしていたのにすぐミラーワールドから帰って来ちゃってちょっと泣いてる。

🐉ゆっくりと燃え盛る車の中に手を引っ込めてしまった浅倉。まあこいつはガソリン撒かれて爆破した車の中にいたところで死なないから。大丈夫だから。




次回:追い詰められる戦士たち。残るは4人。

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