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  • 執筆者の写真_ ぬぺ

43話

ともかく割合に身体の工合はいいように感じられた。なるほど身体全体に痛みがあったが、それもだんだん弱くなっていき、最後にはすっかり消えるだろう、と思われた。柔かいほこりにすっかり被われている背中の腐ったリンゴと炎症を起こしている部分とは、ほとんど感じられなかった。感動と愛情とをこめて家族のことを考えた。自分が消えてしまわなければならないのだという彼の考えは、おそらく妹の意見よりももっと決定的なものだった。
フランツ・カフカ『変身』 原田義人訳



【あらすじ】

優衣が消えて狼狽える花鶏の2人。

その裏では、契約が不安な佐野が独自に動いていた。


本作の若者怖すぎる。




【佐野満】

契約が心配な青年。

雇い主の香川が死去したことで契約内容…というか契約金がどうなるか気になったらしく、東條に接触。いつものようにおべっかをつかいつつ、真顔で「何考えてるの?」と問う。


「もう君には用は無い」

 「僕は英雄になるから。自分だけの力でライダーの戦いに勝ち残ってやる。君は要らない」

「ま、仕方ないか。……どうでもいいけど、オタク、目が死んでるよ」



香川研究所との契約が事実上打ち切りとなった佐野。

今まで通り駐車場の警備員をしつつ、おべっかを使ってお金を稼ぐ日々。


「あーあ、家に帰りたいなぁ。でもそうもいかないし。どうしたもんかなこれから。」


……訳アリ家出少年なの君?

この辺は予告から察するに次回かな。



彼が次に向かったのは花鶏。

再び真司たちと契約しようとしたが、彼は優衣を攻撃した前科持ち。

確かにこの瞬間、優衣は行方不明で、それを探す真司がかなりピリピリしていたのは佐野にとって不運だった。しかしそれを上回る、無銭飲食にヘラヘラした態度。いつもはおバカで平和主義の真司くんが無言で掴みかかって殴っても仕方ない。


半べそでごめんなさいを繰り返しながら逃げて行ったのでした。



続いて訪れたのは北岡弁護士事務所。こいつの心臓オリハルコンでできてんのか??


いつものようにおだてて仲間に入れてもらおうとするが、そもそも自分が金持ちで天才でかっこいい自覚のある先生には通じなかった。なんか腹立つな。

吾郎ちゃんのコーヒーを飲むことすら許されず、そのままお引き取り願うことに。

じゃあ紹介状を書いてくれと食い下がる佐野に、一筆書いて居場所を案内したのでした。

この時点で残っているライダーが事実上1人なのに気が付いた私、天を仰ぐ。


北岡秀一(30)「吾郎ちゃんどうよ、最近の若いやつは何考えてんのかねぇ。世も末だよ」

由良吾郎(25)「まったくです」

※佐野満(21)



紹介状を手に彼が向かったのは夜の町。

既にタイガと戦闘をしている王蛇を眺めた後、逃走したタイガを見つけきれずフェンスに八つ当たりする浅倉のもとへ駆け寄る。

そして彼にもおべっかを使う。あんたの精神力だけは見習いたいよ。


渡した名刺は一瞥の後ポイされるが気にせず、紹介状を渡して肩を揉む。

呆れと不信感が入り混じる浅倉の表情。多分私も同じ顔してた。


「なんだこれは?」

北岡が持たせた「紹介状」の中身は、真っ白なコピー用紙にマジックペンで「まぬけ」と書かれたものだった。

やや遅れて状況を認識した佐野、慌ててその場から逃亡。



とにかく金が欲しくて駆けずり回っていた彼。おそらく原因のひとつに、今回亡くなったと連絡があった父親と、彼との関係があると思うのですが、流石に考察するには材料不足かと。

ほんのりと大和先生と同じ香りがする気がする。




【東條悟】

師を失い、代わりに大量の人に恨まれている青年。

「目が死んでいる」と言われてはいるものの、本人の英雄になりたいと望む意志は変わらないまま。



屋台でラーメンをすすっていたところ、息をするように他人の飯を奪うことでお馴染み:浅倉威から声を掛けられる。

そのまま戦闘に発展するものの、全く歯が立たず敗走。

こちらの世界に戻ってきても、浅倉が自分を呼ぶ声に怯え、川に落ちるという命がけの行動で逃走。


「今日は……調子が悪かったかなぁ…ハハハッ」


強いキャラぶっているうざい雑魚キャラが言いそうな台詞第1位じゃん。



翌日、大学構内で『変身』を読んでいた彼に声をかけたのは北岡。

こちらもそのままバトルに発展、そして再び敗北。たしかに浅倉に乱入された上で漁夫の利を狙おうとした北岡に砲撃された結果だから負けたのは致し方ない部分もあるが、彼のプライドは許さないだろうな。


「なんだ命乞いか? 英雄なんだろ、お前」


瀕死の状態で鏡から出てきた浅倉・東條。それを静かに見つめながらゆっくりと歩いてくる北岡。認めるのは大変腹立たしいのですが、最高に顔が良いよ北岡秀一。

不適な笑いと共に立ち去る東條だったが、道中流石に無理が祟って気絶。


彼を助けたのは佐野。

東條が目を覚ました時、彼は佐野の家の布団の中だった。


東條に手を差し伸べてくれた人が現れた。

即ち、佐野に死亡フラグがたったのである。




【浅倉威】

北岡にやられて重傷を負う。

それでもまだ北岡に勝負を挑もうとするが気絶。北岡もそれを悟ったか、取り出しかけたデッキをしまう。


正直、浅倉がメイン3人以外と退場チキンレースになるとは思ってなかったよ。

どんな最期にしろ、北岡先生と派手にドンパチやってほしいな。




【神崎優衣】

操っていたモンスターを真司に預けたきり、行方不明に。

真司に襲い掛かったタイミングが彼女が目を閉じたタイミングなのは、彼女の意志には関係ないからだと思いたい。


優衣が向かった先は、兄:士郎のもと。

ここでようやく士郎がモンスターを使役しているシーンが解禁。目力で動かしていました。やはりミラーワールドにおける優衣と士郎の力は同等か。




【以下雑記】

🐉タイガの変身ポーズ。手順も多くてかっこいいのですが、なんというか「既視感!」って感じのポーズよね。違うのは分かっているんだけど、「1号(概念)」「クウガ(概念)」「アギト(概念)」を足し合わせた感じのポーズ。「英雄」の形だけなぞっている彼にはピッタリだと思う。


🐉東條が読んでいた『変身』。一応読破したことはあるのですがえ??っと思って軽~く読み直しましたがやっぱり記憶違いではなかった。

🐉彼がこの作品を気に入りそうな要素が無くて。グレゴールって冒頭でも引用しているけど、ある日虫になって、不条理な状態のまましばらく過ごして無残に死んでいくわけで…。最終的には最後まで味方でいてくれた妹にすら気味悪がられるっていう……。「孤独な中でも最後まで自分らしさを保ったままでいた」というところが気に入っているの?だとしたらあまりにも趣味が悪い(褒め言葉)というか、他にもっといい話なかった?っていう。

🐉まあ、グレゴールが亡くなったあと、家族たちは自分たちが実はとても自由であることに気が付いて新たな人生を歩み出すハッピーエンドという皮肉なので、その点は東條っぽいというか、彼の死後はそうなりそうな気がする。

🐉なお冒頭の引用は青空文庫さんからお借りしました。




次回:金に釣られるな弁護士

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