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  • 執筆者の写真_ ぬぺ

最終話

命をかけても叶えたい願いはありますか?




【あらすじ】

「オーディンと決着を付けさせてやる。最後の仮面ライダーとして」


残ったライダーは仮面ライダーナイトこと秋山蓮。

彼の脳裏に響くのは、真司の遺言。前回の途切れ途切れの物ではなく、元気な時の真司の声。蓮の中ではっきりと「あいつならこう言う」みたいなのができているんだろうなって。


最終決戦が幕を開ける。




【北岡秀一】

令子さんとのデートを脇に置いてでも、浅倉との決着をつけたい北岡。


「勝ち負けの問題じゃないよ。奴がライダーになったことには多少なりとも責任があるわけだし。」

 「行かせてよ吾郎ちゃん。このままじゃ俺、何か一つシミを残していく感じで、嫌なんだよね」


本人の意思は固いですが、椅子から立ち上がるだけでふらつくようでは、浅倉のもとに行けるかどうかすら怪しい。

吾郎も泣きそうな声で止めるが、本人の意思は固い。


「それにしても、今日は天気が悪いね。吾郎ちゃんの顔が、見えないよ」



一方お洒落なレストランの店内では、北岡を待つ令子の姿が。

外は降りしきる雪。

机のサイズが、今まで向かい合ってきた2人が使った机の中では一番2人の距離が近くなる気がするのは気のせいかな。



廃倉庫にて。

待ち構えている浅倉の前にゾルダが現れる。

鏡を2枚使った演出良い。石田監督~~!

待ってましたとばかりに戦い始める2人。


正直に言うとここで若干確信したんだよね。

まあ前回吾郎ちゃんがデッキを持ったまま北岡に返却していないって言うのを聞いたときにもしかしてと思っていたんだけど。

ゾルダが一言もしゃべらないのに加えて、全体的に動きが荒っぽい。ヤンキー感とでも言うのでしょうか。


正面からのぶつかり合いの結果、白星が付いたのは王蛇。

呼びかけても返事がないゾルダに不満な様子。

しかし何かに気が付いてもう一度振り返ると、そこにいたのは北岡ではなく吾郎。


「先生、また、うまいもん買って帰ります」



そしてその頃北岡は、事務所のソファに横たわっていました。

綺麗に組まれた手には咲いた1本の白い薔薇。

奇しくも、彼を待つ令子の目の前に飾られていた花は、まだ開き切っていない白薔薇。


1本の薔薇の花ことばは「ひとめぼれ」

白薔薇の花ことばは「約束を守る」

開いた薔薇とつぼみの薔薇を2つ合わせたときの花ことばは「あのことは当分秘密」



無音演出が光ったパートでした。石田監督~~!!

今までにも何度か言ってきていますが、北岡の最期は浅倉と正面からバトルして、吾郎ちゃんに看取られてほしいとずっと思っていました。

看取られる時は2人きりだと嬉しいなと思っていたのですが、まさか我々観客すら入れてもらえない2人きりだとは思っていませんでした。大満足です。これ以上ない。

浅倉とのバトルは叶いませんでしたが、代わりに吾郎ちゃんが活躍してくれたので何も言うことはないです。最高。ありがとうございました。




【浅倉威】

ゾルダの中身が吾郎ちゃんだった。

おそらくそれで、もう自分の望みである、北岡を倒すということが叶わないことを察した。

背中がちょっと寂しそうで、この人こんな表情できるくらいには人間だったんだなと。


意を決したように倉庫から出ていく浅倉。

鉄パイプを拾って振りかざし、雄叫びを上げながら駆け出す。

外にはあまたの銃口。


走り出す直前に不敵な笑みを浮かべた彼は、硝煙の向こうに倒れたのでした。



因果応報と言えば因果応報。

けどそれ以上にこんなこと言うのもアレですがとてもかっこいい最期でした。

悪役ライダーの走りだった浅倉。本当に良いところ持って行ったよねと改めて。彼が平成初のダークヒーローだったのはめちゃくちゃ幸運だったと思う。だってこんなに魅力的なんだもん。

極悪非道だし同情の余地なんて全く無いしよく子供番組で放送しようと思ったねコレ、って感じのお方でしたが、それを上回るくらい魅力的だった。そりゃ、20年後も元気に当時と変わらずやりますわ。




【神崎士郎】

タイムリミットは残り数日に迫っている。オーディンを蓮に差し向けて戦わせることに。

ちなみに浅倉・北岡が脱落扱いになっているのは、時系列的にもう両者死亡後だったのか、予見してのことだったのか、それとも安定のクソ運営ムーヴだったのか、気になる所ではあるけれど。


仮面ライダーオーディン。まさかの変身者は最後まで神崎じゃなかったんですね。

まあ扱い的には彼の使い魔の1つだったみたいで。そこは士郎でもよくなかった?とちょっと思ったけど。



さてそんな血なまぐさい戦いの裏では、花鶏にいるおばさんがケーキを作りながら過去のことを思い返していた。

アメリカの親戚に引き取られた士郎。自分が優衣の傍にいないといけない、と叫んでいた中に、「20回目の誕生日に消えちゃうんだ」と言ったことが妙に脳裏にこびりついていた。荒唐無稽な発言だが、なぜか信じられた。

だから、今日ここに優衣がいないこともなんとなく予想がついていた。


☕「ゆーい、」


何とも言えない表情が胸に刺さる。

コメント欄で「死んだ子に語りかける親の顔」って書き込んでおられる方がいて、なるほどそれだ!と思いました。



士郎は部屋で1人優衣に想いを馳せる。今までのように金ではなく、黒の羽根が舞い散る部屋で。

きっと優衣は復活を拒んで、受け入れてくれない。

「まだ駄目なのか優衣?!まだ…!」

叫び声をあげる。

呼応するようにミラーワールドが割れて、オーディンが苦しみだす。


🐦「最後のライダーは、お前だ……」


オーディン消滅。ラスボスとの戦いで必殺技無しってあるんだ。



割れた鏡の中でうなだれる士郎。

鏡の中からは優衣が問いかける。


「また繰り返すの? 最初から?」

少なくとも本編時空では2回繰り返していますが、それ以上やっていた可能性があるのかとようやく気が付いた。

ではOPで映っていた、目線が入っていた人はもしかして「リセットされる前のn回目のプレイヤー」ってこと…?


「俺をひとりにしないで」

結局のところ、士郎の願いはそれだけだった。生涯独りぼっちだった士郎にとっては優衣が一番大切だった。

優衣の意志を無視してもそこまで心が痛んでいなかったのはきっとこのせい。この人も精神はライダーよねほんと。


それに対する優衣の答えは、

「私はここにいる。お兄ちゃんの傍にいる。」

優衣はそんなことしてほしくないし、そんなことしなくたって一緒に居られるはず。



ようやくけじめがついた士郎は、自らの意志でミラーワールドを閉じる。

幼い優衣と士郎、そして大人の行いと士郎は4人で、鏡の中で絵を描き続けることにした。それぞれがまだ描きかけのスケッチブックも、壁に貼られた絵も、モンスターなど1匹もいない、楽しい光景で溢れたものばかり。

士郎も明るいブルーのシャツに整えた髪とすっきりスタイルに変化。

それにしても子どもの兄妹と大人の兄妹の笑い方がそっくりである。良い役者さん見つけてきたな本当に。

そして神崎邸からは、2人が仲良く手を繋いだ絵を除いたすべての絵、より正確に言うならばモンスターの絵は一枚も残らず消え失せたのだった。



一度死んでしまった兄妹は生き返れなかったけれど、命をかけて戦っていた時に比べたら穏やかで幸せそうな顔で。2人が幸せならば、これは紛れもないハッピーエンドなんだと思う。

一面に映し出された絵のシーンがため息と涙が同時に出てくるくらい綺麗でした。本当に良いシーンだった…下手に台詞とか入れないのも本当に良かったです。


どうか4人がいつまでも幸せに、楽しい絵を描いていますように。




【秋山蓮】

無事にオーディンに勝利した蓮。彼の目の前には「新しい命」が現れる。

彼の記憶にあるのは、目の前で消えた優衣、自分に想いを托して息を引き取った真司、戦いに身を投じた目的である恵里。

迷った末に、彼はそれに手を伸ばす。



その後、無事に帰還した蓮は体を引きずるように恵里の病院へ向かう。

ずっと首からかけていたリングを、チェーンを引きちぎって外し、恵里の指にはめる。ちゃんといつもの彼女がつけていた左中指に嵌めてあげるの好き。


恵里が目を覚ますと、蓮は壁にもたれかかるように、無防備に座り込んで眠っていた。

作中でほとんど見せたことのなかったような微笑みを浮かべて。

いろいろ終わって、疲れちゃったうえに安心したんだろうな。


「蓮、そんなところで寝てると、風邪ひいちゃうよ」




以上が、原因不明の失踪事件の真相であり、仮面ライダーと名乗る人間たちの、戦いの真実である。

この戦いに、正義は、ない。

そこにあるのは、純粋な願いだけである。


その是非を問える者は……




【その後のお話】

オレジャーナルでは大久保編集長、令子さん、島田さん、めぐみさんが愉快に勤務中。

その愉快な仲間には「バカ新人」こと真司もいる。まだHPに写真すらないレベルの新人ですし、遅刻ギリギリで登場して編集長に物理的に締められてますが。

真司が取材に生かされた先は「金色の蟹」。あのおじさん変わってないね??(一瞬シザースが頭をよぎったのは内緒)


令子が取材に行った先は北岡弁護士。

新聞にも取り上げられる「今、一番注目される若手弁護士」。右斜め45度の写真が決まっている。

彼をサポートする吾郎ちゃんも健在。

ちなみに新聞の日付は2003年1月19日。放送当日ですね。


ガス欠になってバイクを押しながら歩いている真司にぶつかってきたのは、どこか見覚えのある顔の大学生。

「大丈夫だよね?」と決めつけて去っていくなかなかいい性格してます。

バイクが倒れて1人あわあわしている彼に歩み寄ってきたのは、赤いジャケットを着た妙に腕に自信のある占い師。

まさかの友情出演で手塚・東條の2人がカムバックです。スケジュール合わせて下さったのかな。ありがたい限りです。


占いが当たると言い張る男に占ってもらっている時に通りかかったのは蛇柄ジャケットの男。

邪魔だからと真司のバイクを蹴り飛ばして去っていきました。50cmほど横にずれればよいだけでは。というかあなた今は犯罪者じゃないの?大丈夫??



そのあと真司が立ち寄ったのは、植物に囲まれたカフェ。

真司と入れ替わりに敷地から出てきたのは、不機嫌そうな顔の黒いジャケットの男。

上手くすれ違えずにぶつかり合う2人。やっとこさすれ違った(というか蓮が首根っこ引っ攫んでどかすという強硬手段に出た)後、睨み合う。

描写は一切無いので真偽は分かりませんが、2人の表情からして真司は覚えていないけれど、蓮は覚えてるって感じか。


店内に入り、コーヒーは無かったので紅茶を頼む。

じっと真司を見る店主の女性。多分(あらいい男)って思ってるでしょ。


店の隅には幼い兄妹の写真。背景から見るに旅行先?

きっと蓮が願ったのは、「小さい頃から優衣たちが幸せに暮らしている世界」とか、「優衣が生き返らなかった世界」とか、そんなところなのでしょう。



ずっと信じてた お前の夢が 熱い未来に変わるまで 仮面に隠した 輝く瞳 ひび割れそうな 愛 抱きしめて
「果てしない炎の中へ」





【総括】

無事完走しましたー!!

いやあ流石靖子にゃん。私にとってはシンケン・ゴバスに続いて3作品目のはず。多分。

考察あり、人情あり、えげつない展開ありで大変楽しゅうございました。



「13人のライダー」と銘打って登場し、以降令和でも健在な多人数ライダーもののはしり。

今だからこその感想だとは思いますが、よくも悪くも初めてだからできた作品って感じでしたね。


例えば「13人」と銘打っているのに本編では13人出てこないとかね。確かに地上波放送なのでこちらがお金払わなくても見られたけども。けども。

まだそれだけ冒険してもいいのかどうかを測りかねていたのもあったんでしょうね。

もし今もう一度龍騎と同じメンバーでできるとしたら、間違いなく全員本編にガッツリ出演してたと思います。おじさんライダーも受け入れられる時代だしね。


でもそうやって受け入れる土壌を作ったのは誰かと言うと間違いなく龍騎なんですよね。ありがたやありがたや。


人数多いからいいだろ!ということで投入された攻め攻めメンバーもなかなか楽しかったですね。

一切の同情の余地がない浅倉、ひたすらに正義感が歪んだ自称勇者の東條といった悪役寄りの人間すら平和主義の真司や恋人を助けたい蓮と同じ土俵で戦っているのを見るのはなかなか楽しかったです。



あと演者さんも比較的安定していらっしゃる方が多かった印象。

特に真司・蓮は初回からほぼ安定していたので没入感すごかったですね。

序盤でちょっと気になったのは優衣ちゃん・北岡さんですが、2人とも後半からめちゃめちゃ演技力上がっておられた感じしましたね。

あと何度か言ってますが、城戸真司顔が良い、圧倒的に顔が良い。言動がおバカなので分かりにくくなってますが正統派の王子様フェイスよね…。


脚本全体もとくにブレたりすることなくフィニッシュしてくださってありがたい限り。

靖子にゃんが主導しつつ、ちょくちょく入ってくる敏樹節もそんなにノイズにならなかったのは本当にすごいと思う。あんまりこの2人が相性良いイメージ無かったので。2人それぞれカラーがあるのでだいたいどっちかは分かるけれど、くらいのレベルでしたね。



いや本当に楽しかった。ガッツリ書くタイプの作品じゃなかったので字数はそんなになかったかな?ここまで約14万5千字ですね。

手厚いことにTTYOでは劇場版にRT龍騎の公開まであるみたいなので、それもじっくり楽しもうと思います。

RT龍騎に関してはなんか背後注意!と言っている方が多くてドキドキしておりますがそれはそれとして楽しみたいと思います。

お付き合いいただきありがとうございました!

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