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  • 執筆者の写真_ ぬぺ

30話 ヨッシャ!奇跡のキュータマ

〔三〕生命や財産など大切なものを、相手やなりゆきにまかす。 (1)神仏や人や物事に、希望、生命などを託する。あてにしてまかせる。 (4)大切なものを代償にする。
"か・ける【掛・懸・賭・架】", 日本国語大辞典, (参照 2023-05-27)



【あらすじ】

ラッキーが倒れた。

瞬間的に反撃に出る仲間たちだったが、ドン・アルマゲは全て片手でいなす。

ツルギの判断で、一行は一時撤退。オライオンもバリアを張った時に重傷を負いつつ、オリオン号へと帰還する。



ラッキーはすぐに治療室に連れていかれたが、ここの設備ではどうしようもないというのが正直なところ。


「いや。方法がないわけじゃない。」




【鳳ツルギ】

彼がいう「方法」とは、彼が持っているホウオウキュータマの力を借りる事。


ひとまず、攻めてきたククルーガを対処するためにツルギたちが出撃する間、船内に残った司令はオライオンにツルギの「方法」の詳細を問う。

オライオンが一瞬見せた不安げな表情を確認してツルギだけを船外に行かせ話を聞く。あまりにも出来過ぎているのだ、この男は。


オライオン曰く、ホウオウキュータマを使って治療する方法はツルギの命すら奪うことになりかねないという。

もちろん、そんな手段に首を縦に振る司令とオライオンではない。



「順を追って説明しないとな」


ツルギがホウオウキュータマを手に入れたそもそものきっかけは、宇宙飛行士時代にホウオウ座系で起きた事故の時。

何があったかは不明ですが、ツルギが乗っていた宇宙船は大破、彼が着ている宇宙服も既に破れており酸素が抜けていく一方。

死を覚悟していたその時、目の前に現れて彼の命を繋いでくれたのがホウオウキュータマであった。このキュータマには命を繋ぐ力がある。その力を利用すれば、きっとラッキーを助けられる。

しかし、ホウオウキュータマに命を繋いでもらったということは、ホウオウキュータマの力が尽きたらツルギも死ぬということ。おそらく彼の言う「方法」も、「ツルギの命を削ってラッキーを生き返らせる」と言った方が正しい。


そこに現れたのは、奇跡的に意識を取り戻したラッキー。この男もなかなかどうして不死身である。


「ダメだ……俺のために……命を……!」

「おいおい、勘違いするな。俺様は死ぬつもりはない。お前を死なせるつもりもな。だから賭けに出る」

「だけど」

「『今の救世主と昔の救世主が力を合わせて新しい伝説を作る』、そう言ったのはどこのどいつだ? 一緒に宇宙を救うんだろ?!」

「ツルギ…」


再び意識を失ったラッキーは仲間たちの手で救護室へ。


「みんなラッキーに賭けてみたんだ。不思議な男だよ。」


「常にポジティブで幸運を呼び込む。こんな奴には会ったことがない。宇宙を救うのは案外こういうやつなのかもしれないなぁ。」

「そんなもん奇跡に等しい。」

「そうだ。こいつは奇跡を起こせる男だ。だから絶対に死んでもらっちゃ困るんだ。」


前回、オライオンとラッキーの頭上に浮かんだ光。

そして、「オライオンの妻子がシシ座系にいる」「ラッキーはシシ座系出身」という事実。


「こいつが未来からやってきて、お前と出会った。もう既に奇跡は始まってるんだ。」

 「俺様は命を懸けてラッキーを救う。だからお前は、もう一度ラッキーと共にあの力を発動させるんだ。」



そこにやってきたのは、ククルーガと大量のインダベーを引き連れたドン・アルマゲ。

ツルギはラッキーを助けるために、ラプターはオリオン号の修理のため船内に残り、残るメンバーは時間稼ぎのために出動。オライオンも、ここで全滅しては元も子もないと共に出撃。


ツルギは命を削ってラッキーに力を注ぎ込む。

途中で耐えきれず弾き飛ばされるが、もう一度立ち上がり、上裸になって気合を入れ直す。なぜ脱ぐ。


地上組は、死にぞこないと罵られながらも精一杯戦う。


「死にぞこないだと?まだピンピンしてるぜ!」

「ああ、まだディナーは始まったばかりだ!」

「ラッキーが来れば奇跡は起こる! だから、絶対に持ちこたえてやる!」

「もはや奇跡に縋る事しかできんのか?」

「笑うがいいさ。だが、お前はその奇跡で倒れる!」


とはいえ実力の差は明確。再び、ドン・アルマゲの攻撃で全員変身解除させられる。


「ここで終わりだ」

「いや、まだだ! これから始まるんだよ!」

「さあ、ようやくメインディッシュの登場だ」

「まったく、待たせやがって」

「ドン・アルマゲ!! これが貴様が否定した奇跡だ!」


ラッキー、完全復活。ヒーローは遅れてやってくるとはまさにこのこと。

彼が戻ってくると信じて、分かっていて力強く叫ぶ仲間たちがとてもかっこいい。

ツルギも普通に喋れるくらいに元気である。勝利の女神はしっかりこっちに微笑んでくれた。なぜなら、奇跡を起こすために必死になった仲間たちがいたから。


「こんな状況でも、お前は自分を信じられるんだな」

「もちろん。ツルギが体を張ってくれた。あんたやみんなが、時間を稼いでくれた。だから俺がここにいる! ドン・アルマゲを倒すことができる! よっしゃラッキー!!」


ラスボスを前に、拳を高々と突き上げるラッキー。それを見て笑うオライオンの顔が、完全に父親のそれである。



「死にぞこないがひとり増えたところで、宇宙が私のものであることは変わらない!」

「何度も言わせんな! 宇宙はお前だけのものじゃない!」

「宇宙には、数えきれないほどの命が懸命に生きている。誰もその幸せを邪魔することなんてできない!」

「「宇宙は、宇宙に生きるみんなの物だ!」」


2人の叫びに呼応するように、また光が出現。

それを見て、オライオンはラッキーに説明する。ラッキーこそ、オライオンの子孫であり、オリオン座系・シシ座系の血を継いでいるのだと。


「さあ、2つの星座の力をつかみ取れ。」




【シシレッドオリオン】

「What’s up? サイコーキュータマ! Super say the change!」

「ミラクルスター、シシレッドオリオン」

ラッキーが土星の様な環のある惑星の形をしたサイコーキュータマを使って変身する戦士。ナンバリングは315。

ラッキーの性格も少し落ち着いたものに変化。王子様っぽい振舞いと声のトーンが最高of最高。

純白のスーツに差し色が赤。ここに垢があるから「シシレッド」の名を冠していても良いのです。分かったね?

胸当ては他の仲間たちよりもややゴツめで、肩の部分にサイコーキュータマと同じくカラフルな星があしらわれたデザイン。背中には2カ所、伸縮自在の布が下がっている。ヒラヒラのヒーローは正義。メットのデザインはオリオンと獅子が向かい合ったもの。


ギリシア神話では、ネメアの森に住む不死身のライオンで、勇士ヘラクレスの冒険談の第1番目の仕事として退治されてしまったとされている。
"しし座", 日本大百科全書(ニッポニカ), (参照 2023-05-27)

もう、オリオン座とシシ座が手を取り合うこと自体が奇跡である。


初めて見た時にその神々しさと美しさで絶句した記憶がある。ちなみにとっくに見慣れた今もそうです。好きなスーツは他にもいろいろありますが「神々しさ」で言えばこれを超えるのは見たことがない、贔屓目も入ってる自覚はある。いいだろ推しなんだから。


武器は今まで通りキューソードをメインとして使用しつつ、空中から自在に他の仲間たちの武器を召喚して使用可能。いったいどこの王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)なんだ。

空を飛び回って攻撃を加えたり、ラッキーの防御として使われるのみならず、ラッキーの攻撃に合わせて適宜持ち替えられるのがめちゃくちゃにかっこいい。

1話の登場時は「運が良いからなんとなく殴っても勝てる」って感じの戦い方だったラッキーが、状況に応じて的確に武器を変えているのめちゃくちゃ良くないですか?


特殊能力は伸縮自在のマントと、空間転移っぽい能力。さらに戦力アップは言わずもがな。

ククルーガくらいなら一刀のもとに斬り伏せることが可能。


必殺技は88星座から交戦が降り注ぐインフィニッシュブラスト



スマートすぎる怒涛の攻撃の畳みかけでなんとひとりでドン・アルマゲを討伐。

ドン・アルマゲが召喚した巨大フクショーグンは、シシキュータマを借りた司令を真ん中に据えたキュウレンオーと、ギガントホウオーで討伐。

トドメの技をたたき込んだ後に追いうち攻撃をかけるツルギに、彼の思いの丈がぶちまけれらていてとても好きだ。



その頃、オライオンは。


「……頼んだぞ。ラッキー」


救世主たちが帰ってきた時には、穏やかな笑顔で片膝をついたまま、眠りについていたのでした。


「…………勝ったよ、オライオン。宇宙は、もうみんなのものだ」


泣きそうな顔で、でもそれ以上に誇らしそうな顔のラッキーがとてもいい。



人々が暮らす街を望む丘の上にオライオンの墓を作った一行。

平和になった現代に戻ろう、と笑顔を見せるが……一瞬、彼らの姿が薄くなる。

オライオンがここで死ぬ、という過去改変を行ってしまった結果、救世主を騙り継ぐ人がいなくなってしまったのである。なので救世主は生まれない、今の彼らが存在しなくなってしまう。

それは困るということで、


「私がオライオンの代わりに、キュウレンジャーの伝説を残す。」

 「みんな、本当にご苦労だった。私の司令官としての役割は終わった。現代で平和に暮らしてほしい。それが、私からの最後の命令だ。」


しかしそれに待ったをかけたのはチャンプ。

過去で調べたいことがあるという。

2人いれば、一緒に帰る方法も見つかるかもしれない、とも。

チャンプが過去に残ると聞いて泣きそうな顔をするスティンガーでしたが、彼の話を聞いて「絶対に帰ってこい、相棒」と前向きに受け止めてくれました。



ということで、トケイキュータマを使って一行は現代へ帰還。

平和になったチキュウで、現代班と合流しようとしておりました。




が。

チキュウには驚くほど人がいない。

戸惑う一行の前に、ハミィが現れる。彼女が指さした先に映ったのは、怪しげに微笑むダークナーガ、その隣にいるアキャンバーとククルーガ、そしてドン・アルマゲ。

現実は、何一つとして変わっていなかった。




【以下雑記】

あーー!!!かっこよかっこよ!!!わーー!!!!

ここまで語彙力絞り出した自分を褒めながら書いてる。油断したら奇声になりそうだった。偉い。



ラッキー。

前回散々書きましたが、とにかく「努力で運をもぎ取りにいくタイプ」の男。

今回だって最後に「仲間たちが頑張ってくれたから帰ってこれた(意訳)」って結論付けるのめっちゃ良いよね。

だからこそシシレッドオリオンの王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)(違う)がめっちゃ良いんですよね……。常に仲間と一緒に戦ってるの最高じゃないですか。最高に「ラッキー」って感じなんですよ。


ドン・アルマゲが言っていた通り、絶望的な中で生まれたヒーローであるキュウレンジャーにとっては運に賭けなきゃやっていけないことってあると思うんですよ。

でも彼らにとって「運に賭ける」「ラッキーに賭ける」っていうのは、ただサイコロの出目が良いやつ出てくれ~的なそれではなく、「希望を信じて進む」「そのための努力は怠らない」って言う意味になるのが彼らが救世主たる所以だと思う。

そのスタンスを決定づけたのはラッキーだし、だからこそ「彼を死なせちゃいけない」「彼が来るまで粘る」に繋がるのがとても美しい。全員が命を張ってラッキーを立たせていて、そのことを彼自身よく分かっている。ツルギやオライオンとはまた別の角度から、自分が犠牲にしてきたもの、踏み台にしてきたものを理解している人だと思う。


あ~~やっぱりキュウレンジャー好きだ~~~(突っ伏し)



冒頭で日本国語大辞典を引用しましたが。

「かける」と書く時、日本語では掛・懸・賭・架の4つの字があり、意味は大きく

  1. 事物や人をささえとめる(ひっかける)

  2. ある機能を持つもののはたらきの支配下に置く(裁判にかける)

  3. 大切なものを、相手やなりゆきにまかす。

  4. 相手を作用の目標にする。(水をかける)

  5. 造作や設備をある場に作り設ける(橋を架ける)

  6. 補助動詞(やりかける)

の6つに大別されるそうです。(括弧の中以外は日本国語大辞典より引用)

「命を懸ける」「運に賭ける」はどちらも3に含まれる。つまりかなり近いニュアンスを含んでいるみたいです。調べるまで知らなかったし考えもしなかったけど、なんかいいなって思いましたまる



確か初めてこの話見た時、どこぞの書き込み(実況板からの引用だった気がする)で、

「もうラスボス倒しちゃったけどあと20話くらいどうするの?」「宴会でもし続けるんじゃね?」って投稿があってかなりツボったのをふと思い出した。

もうそれでいいよ。むしろそうあるべきだよ。なんでそうならなかったんだよ。



最後に1個引用を。


黄道十二星座の第5星座(獅子宮)で、ししの大鎌を形づくっている1等星レグルスはちょうど黄道上に位置するため、古くから王の星とよばれ、星占いにとって重要な星とされていた。
"しし座", 日本大百科全書(ニッポニカ), (参照 2023-05-27)

最高か?




次回:今度こそナーガを取り戻す

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