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  • 執筆者の写真_ ぬぺ

20話 スティンガーVSスコルピオ

救世主たるもの、誰一人取りこぼす事なかれ。例え誰から何を言われようと。




【あらすじ】

チキュウに危機が迫る中、キュウレンジャーの頼みの綱であるアルゴ船を構成する3つのキュータマは現在スコルピオの近くにあった。

1つはスコルピオ本人が回収。そして残る2つはスティンガーが持って行っていた。



スティンガーは地上にて単身でスコルピオと交戦。

仲間にこれ以上迷惑はかけられないという判断であった。

が、一対一では流石にスティンガーも分が悪い。


「俺はキュウレンジャーではなく、サソリ座の戦士として兄貴を倒す!」


自分の尻尾の毒を自分の身体に打ち込む。

サソリ座の民に伝わる秘儀:アンタレス。

自分の身体に秘められた力を最大限まで引き出すが、一方で使用者の命も奪う諸刃の剣。

顔に紋章が浮き出るの、控えめに言ってめちゃくちゃにかっこいいですね。なんだこれ。



が、怪人と化したスコルピオの力はそれを更に上回っていた。

キースからチキュウへと直行した仲間たちが駆けつけたときには、スティンガーは既に起き上がる事すらままならない状態になっていた。

目ざとくスコルピオの動きに気が付いたナーガとそれに協力したラッキーのおかげでトモキュータマはなんとか回収に成功した。

が、ナーガはそのままスコルピオの攻撃を受けて重傷。スティンガーもスコルピオによって連れ去られてしまう。



一度オリオン号に集合した一同。

リベリオンにいた小太郎もオウシキュータマを持って合流。

「行ってくるよ。絶対にスティンガーを助けてみせる。チャンプも一緒に行こう」と語りかける姿が本当に凛々しい。登場したばかりの良くも悪くも子供らしい態度はすっかり落ち着いたねぇ。


司令が部下たちに見せたのはヤギキュータマ。動画を残しておけるそれを、スティンガーはジャケットのポケットに入れておいたらしい。

入っていたのは勿論彼から仲間たちへのメッセージ。


「俺はキュウレンジャーを抜ける。これ以上、スコルピオの愚かな行いを放っておくことはできない。兄の事は、弟の俺がけじめをつける。秘術アンタレス。この術を使った者は、絶対に助からない。俺の勝手を許してくれ。最後に…………みんなと戦えて、本当に良かった」


「最後に」のあたりからほんのりと泣きそうな顔になっているのが本当に辛い。

スティンガー、貴方本当に1人で背負い込むの向いてないよ。


「……許さない。勝手に死のうとするなんて!絶対に許さない!!」


ブリッジを飛び出していく小太郎。

残された仲間たちも、流石にそこまではしなかったものの、気持ちはみな同じ。


「助けるに決まってんだろ」

 「俺は絶対に諦めねぇ。俺たちが諦めたら、あいつは死んじまうんだぞ?!俺たちの仲間が!」



そこに、スコルピオからチキュウへとメッセージが送られる。

曰く、モライマーズがチキュウに到達。まもなくチキュウは爆発する。

その原因はキュウレンジャーが過度にチキュウの支配に干渉したこと。だから、キュウレンジャーを差し出せばチキュウは助けてやると。

わざわざキュウレンジャー全員の顔を出すのも、そこにスティンガーはいないのも大変に趣味が悪い。


この状況を受けて、キュウレンジャーはチキュウもスティンガーも救うこと、そのためにスコルピオのもとに乗り込むことを決意。

スティンガーのキュータマとセイザブラスター、ゾンビの一件で使用した解毒剤を携えてチキュウに降り立つ。

なお出撃班は自動的に元気なメンバーが選ばれました




その頃の蠍兄弟。

スティンガーは兄に、なぜ今のようになってしまったのかと問う。

スコルピオの答えは、欲しいものを手に入れるため。強ち間違いじゃないのが怖い。確かに人間、欲しいものを得るためには強くあらねばならない時がある。ただ、致命的にベクトルが間違っているのだけれど。


スティンガーが小さい頃、確かに兄は弱かった弟を気遣い、いつだって助けてくれた。

そのために強さを求めたものの、いつしかその「強さ」は歪み、過度な暴力へと変わっていった。

スティンガーがやけに兄に固執しているのは、身内としてのけじめもあるのだろうけど、それ以上にきっと「自分のせいで兄が道を踏み外した」という罪悪感があったから。自分自身が諸悪の根源だと捉えているから、仲間から見捨てられる行動をとったり、命を投げ打つような行動をとったりできたのでしょう。


……という彼の懺悔も後悔も罪悪感も、

●「俺は自分のために強さを手に入れた。お前の存在など、最初から興味は無い」

と切り捨てるスコルピオ。

この台詞を聞いたときも思ったのですが、スコルピオの言葉遣いって時々、「もしかして弟を気遣っているのではないか」と思わせてくれる瞬間がある。今回だって、捉えようによってはギリギリ「お前のせいじゃない」と言ってくれているように取れなくもない。

兄としての何かが残っているのか……?と一瞬思ってしまうのだけれど、よくよく考えるとギリギリでアウトな方にいるからねぇ……。


「もう戻れない。俺も、そしてお前もな」

 「せめてその命、俺のために使え」


容赦なく自身の毒をスティンガーに注ぎ込む。




視点をキュウレンジャーに戻して。

チキュウに一足先に降り立った小太郎。

早速デモを始めていたチキュウ人の説得にかかるが、まだ年端も行かない子供であり、キュウレンジャーでもある小太郎の説得は届かない。(よく見たら一番手前の横断幕に「明太子」と書かれているのはご愛敬。修羅の国のヒーロー要ります?)


👨「俺たちみたいな弱い人間が、ジャークマターに逆らえるわけないだろう!」


同じ惑星で生まれ育った人々からの心無い言葉。

チキュウ出身の彼に「出て行け」というのもなかなか酷い。彼の家も、守るものも全部チキュウにあるのに。



落ち込む小太郎のもとに、残る4人の出撃班も合流。


「小太郎、その辺にしておけ。行こう」


人々の間を抜けて歩き出す5人。

容赦なく石やゴミが投げつけられても、スコルピオの姿が映る前だけを見据えて歩く。最初に小太郎がキュウレンジャーと出会った時に、ジャークマター側に石を投げて「出て行け!」と叫んでいた様子が綺麗に反転している様がなんともグロテスク。


ほとんど動じなかったラッキーだったが、小さな子供の顔を的確に狙った石をキャッチしたところで流石に我慢の限界が来た。


「チキュウは俺たちが救ってやる!だからお前らは、黙って隠れてろ!!」


「俺、チキュウ人として恥ずかしいよ……」

「泣くな。みんな怖いんだ。でも、俺たちは違う。戦うための力がある。この力を使って、チキュウを救おう!」


涙をぬぐって力強く頷く小太郎。

研修期間を経て本当に強くなった。




キュウレンジャーはスコルピオのもとへ。

トモキュータマは持ってきているものの、どうせ初めからチキュウを救うつもりは無いことくらい分かっている。

ということで、正面衝突である。


空から降り注いだインダベーとスコルピオはラッキー・小太郎が、

巨大化したツヨインダベーはリュウテイオーで司令・スパーダ・ハミィがそれぞれ対応。

巨大戦ではツヨインダベー1体をなんとか撃破したところでモライマーズロボが出現、次週に持ち越しである。



地上戦には満を持してスティンガーが合流。

アンタレスによって顔に浮かんだ紋章はスコルピオの毒によって赤黒く変色。目は紫色に変化。

着地時のパンチでコンクリートを砕くだけの力を手に入れた代わりに、言葉すら通じないほど理性が飛んでおります。


「どうだ?昨日まで仲間だった男にやられる気分は」

「お前にやられるより、よっぽど気分が良いぜ!」

「そうか。ではお前をやるのは後だ!」


ということで、あろうことかスティンガーの矛先は弟分である小太郎のもとへ。

ラッキーの絶叫も虚しく、容赦なく小太郎を殴り飛ばして変身解除に追い込む。

今回の見応え満載のアクション。スティンガーさんはアクロバティックな動きも多くスタントさんによる吹替も多い中、小太郎をボコボコに殴り飛ばすシーンだけはマジでお岸さんにやらせるというなんとも人の心の無い(しかしドラマとしては最高な)見せ方である。



「自分より弱い者が死んでいく様を味わえ」


自分に向かってきたスティンガーの尻尾を手で払いのける小太郎。


「俺は弱くなんかない。守るものだってある。助けてくれる仲間だっている。……チキュウ人だって戦える!お前なんかよりよっぽど強い!!」


これを聞いたラッキーは、解毒剤入りの注射器を小太郎に投げて渡す。

大切な仲間を取り戻すための一手を完全に托す。もう研修生は卒業です。



小太郎は尻尾の猛攻を華麗に避けながらアニキのもとへ。

そしてラッキーはスコルピオが邪魔せぬように相手を買って出る。変身解除させられてもくらいつく。


「そんな死に損ない、今更解毒したところで無駄だ」

「無駄じゃない!スティンガーは俺に教えてくれた!『弟が誇れる兄でいろ』って!スティンガーは、俺が誇れるアニキだ!……アニキはお前なんかに絶対負けない!!だからアニキ、そんなみっともない姿、俺に見せないでくれよ!俺の大好きなアニキに戻ってくれ!!!」


スティンガーの攻撃はわずかに逸れて、小太郎のジャケットに当たる。

内ポケットから飛び出してきたのは、彼が連れてきたオウシキュータマ。

瞬間、スティンガーの動きが止まる。


「チヤ……ンプ……」


その隙を突いて解毒剤の注入に成功。スコルピオの毒は無事に解毒された。

相棒と弟は、裏切った兄よりも強かった。



気が抜けて倒れる小太郎の腕を掴む。


「強くなったな、小太郎」


ここで最初に頭を撫でるのがなぁ、「スコルピオの弟」なんだよ。

どんな風になっても、なんと言われようと、弟としてスティンガーがスコルピオからもらった愛は本物だったんだろうなぁって思うとなんだかもう情緒がめちゃくちゃです。



「何一人で抱えてるんだよ。俺たちのことがそんな信じられねぇか?」

「お前たちに迷惑をかけたくないんだ。もう、チャンプみたいなことには」

「チャンプが聞いたら怒るぜ。『一人で戦わせるために、お前を守ったんじゃない』ってな」


このラッキーの台詞を聞いた瞬間、チャンプがスティンガーに説教たれる様子が見えたよね。ちゃんと次郎さんの動きが見えたし、大塚さんの声も聞こえたよね。


「一緒に戦おう。俺たちは、あいつより強い!」



差し出されたジャケットを羽織り、ブラスターを付ける。


「兄貴。決着を付けよう。」

「何人でかかろうが、お前が弱いことには変わりない」

「だけど仲間ができた。だから、俺は兄貴より強い!!」


スティンガーを中心に名乗りを上げる。

いつもは淡々としているスティンガーの名乗りに熱が入っているのが良い。


「お前の強さ、試してやる!」




その頃、リベリオン本部。

誰もいない整備室にいるチャンプの目が、光った。




【以下雑記】

蠍兄弟編決着編:前編。

あまりにも濃い。どこから書こうかな。もう30分を秒単位で語ろうかな。



結局この回で言いたかったことって、「救世主とは何か」なのかもしれないな、と思った。


最初にもちょっと書いたけれど、救世主は少なくともこの宇宙の中では「誰一人取りこぼさずに救うことができる人」が定義といって差し支えないと思う。

この「取りこぼさない」対象には、宇宙に生きる全ての無辜の人々も、救世主たち自身も入る。

だから、チキュウも仲間もみんな助ける!と迷わずに言える。


で、定義の中では「精神の強さ」は重要視されない。

だからラッキーは強い支配者に怯える町の人も否定しないし、その行き過ぎた行動には怒るが否定はしない。

スティンガーにも「1人で抱え込むな、死ぬな」とは言うけれど、兄を慕う気持ちも、兄を信じたい気持ちも、兄を殺したいと息巻く気持ちも否定しない。でも、彼が死に急ぐ以上全力で止める。

救世主としての肩書を捨てて死に急ぐスティンガーを「みっともない」と評した小太郎にもきっとその在り様は正しく伝わっている。


救世主だって人間だし(まあ人間と括っていいのか微妙な人々もいますがそれはさておき)、怪人に比べれば肉体的にも精神的にも弱いけれど、何かを守りたいという確固たる意志を持った人たちが集まれば、きっとなんだってできます。

そして「何かを守るためならどこまでも強くなれる」を証明しているのがスコルピオだという皮肉。


それを体現している台詞が司令がよく口にする「龍に翼を得たるが如し」。

雲に乗じて天に昇る龍が、翼を得てさらにその力を増したよう。強いものにさらに強さを加えることのたとえ。
"龍に翼を得たる如し", 故事俗信ことわざ大辞典, (参照 2023-04-20)

自分が強いだけではない、共に並び立つ仲間たちがいてこそ自分たちは強く戦っていける、って救世主を引っ張る立場である彼が自ら口にするのがまた良い。



でもって今回外せないのが出演者たちの熱演ですよ。


「優しい兄」「堕ちていく男」「強い怪人」が全てぴったりハマる久保田さん、

「兄にすがる弟」「兄を殺さんとする弟」「狂った戦士」「優しいアニキ」の切り替えで弱さも強さも見せてくださった岸さん、

「迫害される救世主」「強大な敵に果敢に立ち向かうビッグスター」と精神面での成長っぷりを見せつけてくれた田口さん。彼に関しては回想で一瞬映った弟とのシーンと顔つきが違いすぎてびっくりよ。成長期すごいなあ。

アニキにくらいついていくアクションシーンなんて泣かない方が無理でしょう。私は夕食を食べながら見ていたのですが途中で食べる方を諦めました。今日作った豚丼天才的に美味しかったんですけど救世主には全然及びませんでしたね。


なお、

田口翔大さん演ずる小太郎は、今回が泣き芝居初体験ということだったのですが、そんな不安はどこへやら。
東映「Episode Guide」, (閲覧 2023-04-20)

えっなんて???????

基本的に「田口(翔大)くん」呼びのこのブログがここだけ敬称「さん」になっているのも頷けます。




次回は遂に兄弟の決着編。要素てんこ盛りです。多分次回も荒ぶります。

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