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  • 執筆者の写真_ ぬぺ

16話 スティンガー、兄との再会

「後悔だけはしないで」




【あらすじ】

兄とまさかの再会を果たしたスティンガー。

どこか兄を信じたい彼は、スコルピオと対話することにする。


ここからが地獄の開始、スコルピオ編の開幕です。




【スティンガー】

チキュウにあったモライマーズに乗り込んだ先にいたスコルピオ。

怪人となった彼と交戦。敵討ちだと真っ先に突っ込んでいくチャンプと、まだ衝撃が勝って動けないスティンガーとの差が痛々しい。


そしてもう一人、イカーゲンの敵討ちだと参戦したマーダッコ。

4人が入り乱れて戦う中、スコルピオはスティンガーに謝罪の言葉を述べた後、おもむろにマーダッコを刺し殺す。

呆気にとられる3人に、「これが答えだ」と言い、夜にまた会おう、と待ち合わせ場所を指定。



待ち合わせ場所に行くか否か。

チャンプはもちろん反対。不死身のマーダッコを殺したところでスコルピオにマイナス要素は一切無いし、罠に決まっている。


「そんなことは分かってる。」

 「お前にとってアントン博士しかいなかったように、俺には兄しかいなかった。だから……頼む。」


そう言われると情に脆いチャンプは弱い。

「話を聞くくらいの間」だけは付き合ってやると約束して待ち合わせ場所に向かう。



落ち合った先でスコルピオは「真実」を打ち明ける。

もとはジャークマターを内側から潰すつもりで内部に潜入した。

が、呆気なく捕まり、助かりたければ一族を皆殺しにしろと命じられた。

迷いはあったが、スコルピオがやらねば別のダイカーンがやるだけというのは目に見えていた。ゆえに、せめて弟を生かすためにと自ら出陣した。

少しでもジャークマターでの地位を上げるために現在も罪を重ねており、いずれジャークマターを打ち倒したら自分の命でその罪は償うつもりだという。


話を聞いて「兄貴…」と呟くスティンガー。

その後現れたデスワームを相手するチャンプと自分を身を挺して守った後に彼の名前を呼ぶスコルピオとの間でしばし揺れた後、兄に着いていくことを決意する。



場所を移し。2人の故郷の星を思わせる砂が広がる場所にて。

夜集合なのにめっちゃ昼じゃんとか突っ込んではいけない。


スコルピオが口笛を吹き、それに合わせてスティンガーが歌うという、昔と何も変わらぬ一時を過ごす。完全に中の人の本業発揮タイムです。歌声が綺麗なんだわ。


スコルピオはスティンガーに宇宙を救うために共に戦わないかと持ち掛ける。

スティンガーは救世主としての立場があると断るが、そんな弟すら誇らしいと言う。


「今はチキュウで何をしてるんだ?」

「ああ。伝説のアルゴ船を蘇らせようとしている」


そこに現れたデスワーム。


「大丈夫だ。戦う必要はない」


一切取り乱す素振りも無く、スコルピオの尻尾が向いた先はスティンガー。

混乱するスティンガーに、クツクツと笑い声を漏らしながら向き直る。


「ペラペラペラペラと大事なことを喋って。…愉快だな。」

 「お人好しのお前は、俺に騙されたんだよ」


赤い仮面を取る。

下にあったのは、右半分は血走ったような赤い肌にオレンジの目、右半分は枯れ果ててひび割れたような白い肌に黄色い目という醜悪な顔。生きた生命とは程遠いデザインがお見事である。

ペンダントを自分にくれたときの、優しい兄の顔はどこにもない。

以前も書きましたが、キュウレンジャーのメットと同じ材質で作られているであろう赤い仮面を脱いだ下に醜悪な顔と言うのが、普段は仮面を脱いで仲間たちと過ごしているキュウレンジャーとは対極にあって大変悪趣味。ヒールはこうでなくっちゃ。最高。



愕然とするスティンガーのもとに、仲間たちも駆けつける。

途中で現れたマーダッコは司令・ガル・バランスが。

ラッキー・ハミィ・ナーガ・スパーダ・ラプターは巨大戦でデスワームを相手する。

そしてチャンプはスティンガーのもとに直行。


さすがにスコルピオは強かった。

チャンプ・スティンガーという、キュウレンジャーの中でも比較的戦力が安定して高い2人を難なく蹴散らす。


「どうだ?実の兄に裏切られた気分は。悔しいか?悲しいか?最高だな」



信じていた兄に裏切られ、貶され。

おそらくここまで兄だけを心の支えに生きてきたスティンガーにはダメージが大きすぎた。


「チャンプ。お前の言う通りだ。俺は、自分が思っている以上に、甘い男だった。」

 「ねぇ兄貴。俺はどこかで、兄貴は裏切らないって信じてた。俺には、俺には兄貴しかいないから!……これが絶望だ。俺を殺れ。スコルピオ」

「あぁ。可愛い弟の望みを叶えてやる」


ここで「ねぇ」と兄にだけ甘えた口ぶりになるの本当さ……。何があっても、こんなことになっても、スティンガーにとってスコルピオは「兄貴」なんだなって。



立ち尽くすスティンガーに向かって構えをとるスコルピオ。

咄嗟にチャンプが駆け寄る。

スコルピオのジャンプと同時にスティンガーを突き飛ばす。

振り返ったスティンガーが、そして同じタイミングで現場に到着した仲間たちが見たのは、チャンプの胸に正確に蹴りを入れるスコルピオと、それによって爆発四散するチャンプの姿だった。


相棒の名を絶叫して駆け寄ったスティンガーの目の前には、身体のパーツもバラバラ、配線も剥き出しのチャンプの姿。


「チャンプ!どうして…どうして俺なんか庇った?!俺は……」

●「馬鹿野郎。兄貴しかいねぇとか言いやがるんじゃねぇ。吾輩が、いるじゃねぇか、相棒。お前に、敵討ちを託してやる。ありがたく思え」


目のライトが消え、活動を停止するチャンプ。

スコルピオの名を絶叫するスティンガーの周りに仲間すら立ち入るのがはばかられるほどの怒りと絶望。



オリオン号に帰還した一行。

バランスがチャンプの身体を一通り調べるが、ここの設備ではどうにもならないとのこと。一度リベリオン本部に連れていって診てもらうことになりました。

ただし、記憶装置がどうなっているのか現状では何とも言えず、その状態によっては今までのチャンプが戻ってこないかもしれないとのこと。


居ても立ってもいられずスコルピオのもとへ向かおうとしたスティンガーを珍しく怒鳴ったのが司令。

「スコルピオのところだ」と言う彼を映すカメラが、救世主の象徴たるジャケットを向いているというのが何とも言えない。今まさに、最も救世主らしからぬ行動をとろうとしているというのに。


「君には別の任務を与える。チャンプをリベリオン本部に運んでくれタマえ。」

 「頭を冷やせ!君が冷静さを失い、チャンプがこうなった。それを胸に刻んでおけ。」


事実上の戦力外通告。

それでも諭すように話す司令の姿に、彼もまた過去にいろいろあったんだよなと噛みしめるしかない。


ガルは「チャンプの旦那は絶対復活する」とオウシキュータマをスティンガーに託す。

仲間たちも、チャンプがいつも言っていた「正義があれば何でもできる」を信じるしかないのであった。




【以下雑記】

ということで衝撃の幕引きでした。

このあとのプアップアップア~ッという気の抜けたイントロをどういう顔して聞けばいいんだ私は。



でもって、ですね。これ、Twitterでも何度か呟いた話ではあるのですが。

この16話の後半約5分が、私のキュウレンジャーデビューです。


もとはと言えば某RPGで神谷さんのお声を聴き、あまりにもかっこよくて「なんだこの方は……」となって作品を漁りだしたのがきっかけ。当時から仲良くしていたリアルのオタク友人に「神谷さんなら今の特撮に出てるよ?」と言われてなんとなく覗いてみることに。

日曜の朝7時半に珍しく起き、まだ家族が寝ているのでテレビのボリュームをめっちゃ絞りつつチャンネルを合わせたところ、目の前には爆発する牛と絶叫する男。ナニコレ????ですよ。

しかもどうもその後の話聞く限り、この牛さんも重要人物らしいし、なんかよく分からん場所に牛さん寝かされてるし、なんかキレてるのは龍だし。もしやこれがcv神谷浩史キャラか。思ってたんと随分違うぞ。

ということで混乱の中5分程過ごし結局これはなんだったの……?と思いながらテレビを切った思い出があります。(当時ライダーにはミリも興味なかったので全く見るつもりは無かったのです。エグゼイド面白かったです。)

それこそシンケンジャー以来の特撮帰還でしたもので、「子供向け番組でこんなことするんだ」みたいなのよりも先に「これは何??」と困惑が勝ったのを覚えています。そりゃぁ気になって続き見ちゃうよね。絶対に東映さんが想定してないハマり方だよね。


当時はそれこそ朝に弱い家系+割と古風な家風なものなので、朝っぱらから年頃の女の子が特撮を見ているなどとは到底親に言えず、薄暗いリビングでこそこそと隠れるように見ていたのはよき思い出です。改めて考えると不審だな。

ちなみにその1年弱後、比較的朝型の弟にバレ、そこから親にバレ、何も知らずに行った城島高原パークでの旅行とルパパトのキャストトークショーがかちあったのがきっかけで本格的に親バレ、諦め半分で認めていただき今に至ります。



さて、私の話はこの辺にして作品の話に戻ろうか。



まずはマーダッコさん。

今回スコルピオにやられたことにより、version3となって復活。こんどは色気がすさまじいお姉さんです。セクシー。

彼女の性格はどれも好きなのですが、見た目に一番合っているのはこの性格だと思っている。艶めかしい動きが大変お美しいです。



そして今回の悪役であるスコルピオ。

いやー良い、良いね。

「主人公サイドの兄で闇堕ちしてる」というだけでだいぶオイシイ設定ですが、そこにさらに恵まれた怪人デザインにキャスティング。最高。あのキック見ました?所作が美しすぎて惚れるかと思った。

さらに久保田さんのお声がね。愉悦の籠った笑い声に嘲りを含んだ声が最高です。背筋ゾクソクしちゃう。強さとかっこよさと憎らしさが同居しています。こいつは絶対に倒さなくちゃいけない。


なんか敵に割く尺が長いな。

仕方ない、私は悪役が好きなので。昔から。

性癖を捻じ曲げた犯人なら分かってるんで。メレ様&リオ様と薄皮太夫&血祭ドウコクです。ゲキレンジャーとシンケンジャーは良いぞ。これを幼少期に見てしまったせいで私は未だに悪役の方に目が行ってしまいます。おかげさまで今は猿として拗らせております。2期楽しみですね!!



閑話休題、方向転換。仲間の話をします。


スティンガーさんですね。

今までもずっと無理しているんだろうなというのは言動の端々に見えていますが(多分完走しているうえで見ているからそう見えるだけなんでしょうが)、無理できる理由である「兄」という偶像が崩れ落ちたのが今回。

傍から見ていても痛々しい。

何もかも限界になったときにまず自分の身を削るのが彼の悪いところなんですよ。それで今回はチャンプが犠牲になっていて、それからは仲間たちも振り回されていくわけですが。

前にもちょこっと書いたし、今回チャンプも言っていたけれど、彼にはもう相棒も弟分も仲間もいるんですよ。もっと気楽にいてもいい。それができないからこそのスティンガーなんだけどね。


そして何より今回はもうお岸さんがMVPよ。

兄の姿に衝撃を受け、それでも信じたいともがいて、一緒に歌うときには幼い弟の顔になり、泣きそうな顔から絶叫まで。

本当にくるくる出力が変わる回でしたが、すんなり感情移入できたのはこの方のおかげです。そもそもずっと一緒にお芝居している相手が百戦錬磨のスーツアクターさんたち、大御所声優、先輩ヒーローというメンツの中でのお芝居デビュー作ってだけですごいですよ本当に……。




次回:少々箸休め、昼と夜と

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